短歌で見つけた瑞々しい言葉たち

若山牧水賞受賞の先生方が登壇

今回取材させていただいたのは、「みやざき神話のふるさと短歌大会」。短歌文学の分野で傑出した功績を挙げた歌人らに贈られる『若山牧水賞』を受賞した先生方が、審査員として登壇された第1部では、全国から応募された短歌のうち、入選者の発表と作品の披露と、当日配布された「みやざき神話のふるさと短歌大会 入選作品集」から、選ばれた作品の講評が行われました。

第2部では、小島ゆかりさんの講演会。“スピード時代”と表現された現代の、言葉の変容についてのお話から講演はスタートします。もともとは「時計」でよかったものが、デジタルの時計が登場したことにより「アナログ時計」になったこと。もともとは「パンダ」と呼ばれていたレッサーパンダに、ジャイアントパンダが大人気になったことをきっかけに「レッサー」がつけられたこと。時代の流れが加速していく中で、現在でも新たな言葉たちが生まれ続けているのだと考えると、逆になくなって行ってしまった言葉もあるのかもしれない、と、普段何気なく使っている「言葉」というものの文化について、考えさせられる内容でした。

コロナ禍ならではの瑞々しい作品も

またそののち、小島さんは「表情を 消してマスクは 感情を 鋭角にして 社会を変える」という、昨年の短歌大会での受賞作を紹介。小島さんはこの作品について

「マスクはもともと、感染を防ぐために社会から与えられたものでしたが、それが当たり前のことになってくると、そのことによってどんどん防御の心が育ち排他的な気持ちも育ってしまう。社会から与えられたものだったはずのマスクによって、人間の感情が鋭角になり社会を変えて行ってしまう、ということを詠んだ作品です。とても鋭くていい作品で、高校生がこんなにも鋭敏なナイーブな感覚でコロナの時代の詩を詠んでくれたことを、痛々しくも嬉しくも感じました。」

とお話されました。この難しい時代を学生として過ごすことになった彼ら、彼女らから見ている世界を垣間見て、胸が痛むような思いがします。こういったコロナ禍ならではの作品が、早く過去のものになることを祈るばかりです。このような状況でも、作品として思いを吐露することが、短歌人にとってはもしかすると、救いにも繋がっているのかもしれないと感じました。

小島ゆかりさん

今回の「みやざき神話のふるさと短歌大会」で、言葉のプロたちによる解説を聞くうちに短歌とは、これまでのイメージのような難しいものではなく、日常の風景を丁寧に切り取るような、どんな人にも親しみやすい文化であることがわかりました。ペンと紙があればいつでも始めることができる短歌。日頃私たちが使っている「言葉」について、より深く考えるきっかけにもなった一日でした。