それぞれの思いを胸に、大正琴がむすぶ縁

全国から審査を勝ち抜いた子供たち

今回会場に伺ったのは、以前インタビューをさせていただいた琴伝流大師範の福山珠恵さんもご出演される「大正琴の祭典」。令和3年全国子供大正琴コンクールの最終選考も併せて開催される、年に一度の大きな大正琴の大会です。

平成21年から現在まで、大正琴協会によって行われている本コンクール。子供たちが目標を持って大正琴に接する機会を増やし、大正琴音楽の魅力を体感してもらうとともに、大正琴音楽を次世代へ継承することを目的として開催されているのだそう。

全国各地から、この日のために練習を重ねてきた学生や一般の部に出場する大正琴愛好者が宮崎に集まった大会当日。心地よい緊張感とともに、演奏が始まるのを客席で待ちました。

それぞれの演奏スタイルで

まずはコンクールの事前審査を通過した子供たちによる、ソロ、アンサンブル部門の演奏からスタート。演奏の前には奏者一人一人の紹介文が読み上げられます。ソロ部門で『玉ねぎの歌~クラリネット壊しちゃった』を演奏する小学二年生の若林杏奈さん。

「玉ねぎの歌は、クラリネットを壊しちゃったの原曲で、オーパッキャマラドのところは呪文ではなく『進もう友よ』だと教えてもらいました。玉ねぎの歌は自然に歩きたくなるところと『玉ねぎ大好き、あげないぞ』のように、歌詞が面白いところが好きです。クラリネットの方は、壊れて変な音になるところを工夫しました。ちょっとだけ違うメロディを間違えないようにするのがむずかしかったです。今日は元気一杯演奏します!」

という可愛らしいコメントが紹介され、和やかな空気に。演奏が始まると、弦楽器ならではの伸びやかな音色が会場に響き渡ります。子供の部の選曲はクラシックから民謡、J-POPまで幅広く、それぞれが思い思いのスタイルで演奏されているのが印象的でした。

大人が魅せる音の連なり

後半は一般の部へ。子供達のソロやアンサンブルとは打って変わって、最大40名ほどでの演奏が行われます。アルト、テナー、ベースにソプラノの4つの音の連なりで、さらに奥行きの深い演奏を楽しむことができました。

子供から大人まで、年齢関係なく楽しむことができる大正琴。子供の部では、「おばあちゃんもお母さんも大正琴を弾いていて、私は赤ちゃんの頃から大正琴をおもちゃにして遊んでいたそうです。」というエピソードを披露された方もおられ、家族や仲間と一緒に演奏できることも大正琴の魅力なのだと、琴伝流の福山さんからお聞きしたことを思い出しました。また曲や演奏する人によっても、全く違う楽器のような表情を見せることも印象的でした。幅広いジャンルの楽曲を演奏できること、アレンジして自分で楽譜を作ることができるのも、他の楽器にはあまりない魅力ですね。

コロナ禍の中、思うように練習ができなかったり、大会のため他県に渡ることをギリギリまで悩まれた方もいらっしゃるかと思います。そんな中、皆さんが一生懸命練習を積み重ねてこの日を迎えられ、無事に大会が開催されたことが、とても嬉しく感じました。音楽を通して結ばれる絆や、演奏を多くの人へ届けたい想いがあることを、改めて実感できる素敵な大会でした。